小児科とーちゃんの日常

小児科、育児、日常、ポイ活についてのブログです。

痙攣(けいれん)について

記事をまだ全然書いていないので、現状読まれる人はいないと思いますが・・・

いずれは読者の方が増えることを願って、小児科医らしいことを記載しておきます。

 

 

自宅での対処

痙攣が起こった場合の対処

痙攣そのものが命に関わる可能性は低いです。また、通常は1-2分で治まります。

難しいとは思いますが焦らず対処しましょう。

1)嘔吐する可能性があるので体(顔だけでも可)を横向きにする
 口の中にタオル・大人の手などいれない!

2)気づいた時点で時計を確認。5分以上続く場合は救急車(119)を呼んでください

3)余裕があればどのような痙攣か、動画をとっておいてください

4)判断に迷う際は病院を受診してください

 

痙攣の症状

目線が合わない

唇の色が紫になる(チアノーゼ)

手足ががくがくと震える

・手足に異常に力が入っている

・口から泡をふく  など

・痙攣が止まった後に、脱力して意識を消失する

 

対処について理由

1)嘔吐したもので窒息する可能性があるので、それを防ぐ目的です

2)通常であれば数分で治まります。
 逆に言えば5分以上続くけいれんはいつ止まるかわかりません。
 病院で点滴で止める必要があるかもしれないので、救急車を呼んでください。
 初回の痙攣で、病院についた際に止まっていても、「何故救急車を呼んだんだ!」
 と怒る小児科医はいません。いれば医者側が間違っています。

 (痙攣に慣れている方で、明らかに単純型っぽいのに毎回救急車はどうかと思いますが・・・)

3)後で記載しますが、複雑型かどうか判断するためです。

4)痙攣後、1時間程度で意識がしっかりと戻ればまず心配ありません。

 

症状についての注意

痙攣はがくがくするものだけではありません。
目線が合わなかったり、異常に手足に力が入っている場合も痙攣です。

また、寒くて震える状態(悪寒)を痙攣として受診される方もいらっしゃいますが、
見分け方としては受け答えが可能かどうかです。痙攣では問いに返答できません。

 

痙攣の原因、種類

痙攣は大きく分けると、①発熱によるもの②発熱と関係ないものがあります。

発熱によるものを熱性痙攣といい、今回は主にこちらについて記載します。

子供は大人と違って、脳が発熱に対して過敏に反応してしまうことがあります。

痙攣は10人に1人ぐらいが経験し、その中で更に10人に1人くらいが複数回経験します。

幼少期にひきつけ・痙攣したことのある近親者がいる方はリスクが高くなります。

 

熱性痙攣には単純型と複雑型があり、殆どが単純型です。

複雑型の基準としては

1)持続時間が長い(15分以上)

2)一連の発熱で複数回痙攣する
 →一つの感染では一回のみ、年に数回痙攣するのは単純型と考えます

3)明らかに左右非対称

などのどれかを満たせば複雑型となります。

 

病院での治療

 

病院受診時に痙攣が続いている
→点滴で痙攣を止めます。治療により痙攣が止まっても入院が必要です。

・受診時は痙攣が落ち着いている
→外来で経過を観察します。ほとんどの場合、薬は投与不要です。

以前は痙攣した方には抗痙攣薬の座薬をルーチンでいれていたこともありますが、
座薬は痙攣予防の効果はありますが、今起こっている痙攣を止める程強くありません。
多くの方が痙攣は一回のみのことが多いので、全例に投与はされなくなりました。

しかし、これは医療機関によって異なりますので、主治医の判断に従ってください。

 

帰宅後

痙攣を誘発する因子

・よく質問されますが、解熱剤で再度痙攣しやすくなるといったことはありません

・鼻水を止める抗ヒスタミン薬の中には、痙攣を長くしてしまうものがあります。
 抗ヒスタミン薬の中でも比較的新しいもの(アレジオン、アレグラなど)は
 痙攣に影響がないと言われています。
 痙攣があった際は主治医に相談し、今後の服薬を相談してください。

 

痙攣の予防

痙攣予防のジアゼパム座薬(商品名ダイアップ)を使用することがありますが、
熱性痙攣を起こしたお子さん全員に使用するわけではなく、下記の方に使用します。

1)以前の痙攣時間が長かった(15分以上)

2)いずれか2つ以上を満たす熱性痙攣が2回以上起きた場合

a. 家族内に熱性けいれんの既往がある

b. 1歳未満で熱性けいれんを起こした

c. 発熱から1時間立たずに痙攣した

d. 37℃台だったが痙攣した

e. お子さんに発達障害がもともとある

f. 24時間以内に痙攣を繰り返した

 

座薬使用の実際

一回の発熱(37.5℃以上)で二回使用します

①発熱に気が付いたとき

②初回投与から8時間後

痙攣は発熱後24時間以内に生じることが多く、この二回の投与でカバーできます。

使用量は体重の半分よりちょっと少ないくらいです。
(目安:10kgで4mg、12kg以上で6mg、20kg以上で10mg)

 

子供は体温が高めなので、37.5℃では頻度が多くなりすぎることもあります。

38℃以上で使用するなど、ケースバイケースで調整しても良いかもしれません。

(投与のタイミングについては、主治医と相談してください)

 

座薬を使用することで眠気が強く出たりぼーっとするような副作用のため、
意識の状態が判断つきにくくなることもあります。

発熱に気が付いた時に使用して、1-2年間痙攣がなければ、予防投与を中止します。

使用していても痙攣する場合、発熱から痙攣までが急で予防投与が間に合わない場合などは、
バルプロ酸など別の薬を予防薬として使用することがあります。

 

予防接種について

予防接種の予診票に過去に痙攣したことがあるかどうかの欄があります。

けいれん発作後、2-3か月間隔をあけて接種することを推奨するガイドラインがありますが、
欧米ではとくに基準は明確ではありません。主治医に確認してください。

 

終わりに

 

我が子の痙攣を見た親御さんの中には、このまま死んでしまうのではないかと思われてしまう方もいらっしゃるようです。しかし、先ほども書きましたが、痙攣そのものが命に関わる可能性は低いです。なるべく落ち着いて対処しましょう。

 

また、熱性痙攣の多くは小学校入学頃には治るようです。
(実際、私も1歳で数回、6歳で一度痙攣したようですが、以降はありません)
小学校入学以降も続く場合は、てんかんなどその他の病気の可能性もあります。
なるべく小児神経の専門医がいる病院を受診してください。