食物アレルギー
一週間に二つの記事を書くことを目標としていたのですが、更新が少しあいてしまいました。
今回は食物アレルギーについてです
食物アレルギーとはなんぞや?
食物アレルギーでは日本で有名な相模原病院の先生が書いている本です。
今回は一部でこの本を参考に記載しています。
ガイドラインもあります
食物アレルギーとは
食べ物によっておこるアレルギーの総称です。
経路は①経口摂取②皮膚接触③吸入④注射があり、
反応の種類は a)IgE依存性反応 b)IgE非依存性反応 があります
他にも即時型や遅発型などの分類もあります
①はわかると思いますが、②や③にも注意する必要があります。
下記に例を挙げます
②茶のしずく石けんを使用したら小麦アレルギーになった
③そば工場で働いていたら、粉を吸ってアレルギーが発症した
また、a)とb)の違いですが、a)は血液検査でわかる数字です。
ですので、血液検査ではIgEに異常がなくてもアレルギーではないとは言えません。
原因食物は何が多い?
アレルギーを引き起こす物質のことをアレルゲンといいますが、
三大食物アレルゲンは卵、乳製品、小麦です
年齢によって割合が異なりますが、他には大豆、果物、ピーナッツ、ソバ、甲殻類なども比較的頻度が高く注意が必要です
症状は
皮膚、気道、消化器症状など様々な症状が出現する可能性があります。
皮膚:じん麻疹、かゆみなど
消化器:口・のどのかやみや違和感、嘔吐など
気道:鼻汁・鼻閉、咳、喘鳴(ぜーぜー・ひゅーひゅー)など
循環器:動悸など
一つの症状が重症、もしくは二つ以上のものはアナフィラキシーと呼びます。
アナフィラキシーの際は入院が必要になることもありますので、皮膚以外も症状がでている場合は早めに病院を受診してください。
普段は出なくても、体調が悪いときは症状が出やすいこともあるので注意が必要です。
どんな治療、予防がある?
治療(症状出てる時)
基本的には抗アレルギー薬の内服(ザイザル®とかアレジオン®とか)
アナフィラキシーの時にはアドレナリン(エピペン®)の筋肉注射です
(0.1%アドレナリン 0.01mL/kg 成人では0.3mL)
喘息症状が出ているときはβ刺激薬の吸入も行います
他にステロイドを投与したりすることもありますが、効くのに時間がかかるのでまずは上の治療をすることが多いです。
幸いにも私は気管挿管まで行った例は経験していませんが、アドレナリンの筋注を行ったことは何度もあります。その場合は症状が落ち着いても入院で経過をみるようにしています。
治療と予防
医療は10年たてば治療方針が変わってしまうことはあるのですが、現在の主流は最低限の除去です。
かかりつけ医の指示を仰ぎながら、進めていくのが良いでしょう。
経口免疫療法といって、毎日少量ずつ摂取するやり方もありますが、アナフィラキシーを惹起する恐れがあるので、かかりつけ医の指導に従ってください。
卵、乳製品などのアレルギーは大人になってから出たものに比べて、耐性を獲得する(経口摂取が可能になる)ことが多いです。
とはいえ、重度の場合はやはり大人になってからも除去が必要です。
皮膚と食物アレルギー
皮膚の状態と食物アレルギーは関連しているようです。
乳児期に皮膚の状態が悪い場合はアレルギーを起こしやすいとの報告があります。逆に慢性的に湿疹がある場合は、アレルギーがあるものを継続的に摂取している可能性もあるようです。
スキンケアが食物アレルギーを予防するといった直接的なエビデンスはありませんが、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは相関があるといわれています。
スキンケアをしっかりと行うと、アトピー性皮膚炎を発症する可能性は下がります。
少なくともスキンケアをしっかりすることは、食物アレルギーに悪影響を及ぼすことはないでしょう。
アトピーが治りにくい場合、掻くのを予防するために下記を使用することもあります
妊娠中、授乳中
妊娠中や授乳中に、母親が特定の食物を避けることでアレルギーを予防できるといった証拠はありません。バランスの良い食事を心がけましょう。
離乳食
離乳食は、最近ではだいたい5か月頃に開始することが多いですが、離乳食の開始を遅くすることはアレルギーの予防には有効ではないようです。
むしろ、早期にピーナッツを食べていた人の方がピーナッツアレルギーが少なかったとの海外の報告がありますし、卵でも同様の傾向があるようです。
とはいえ、新しく食べたものでアレルギーが出た場合にはいったん除去して、その他の食物をすすめていくのが望ましいと思います。
例えば卵ですが、アレルギーの出やすさで言えば生卵>白身>黄身です。
まずしっかりと火を通した黄身から始めてみるのが良いでしょう。
白身でアレルギーが出現した場合は、しばらく白身は食べないようにし、いつ頃再開するかはかかりつけ医の指示に従ってください。
また、新しい種類のものを食べる時には何かあった際に備えて、平日の日中に食べるのが良いでしょう(夜や休日は近所の病院が閉まっており、おすすめできません。)
検査
概要
アレルギーの状態を知るには血液検査や皮膚テストを行います
今回は血液検査について書いていきます
だいたい一歳くらいでされることが多いですが、病院によってはそれより早くからすることがあります。
血液検査は大きく二種類にわかれます
①IgE RIST:全体としてアレルギー体質かどうか調べる。花粉症などでも上昇
②IgE RAST:特定のアレルゲンに対して、体が反応するか調べる
例 卵白、オボムコイド(卵のたんぱく質の一種です)、スギ、ダニ など
IgE RASTは0-6の7段階で表したり、もっと多い数値で表したりします。
一般的には数字が大きくなるほど症状が強い・症状が出やすいです。
基本的には疑わしいものだけを検査しますが、病院によってはView 39など網羅的に検査できるものもあります。
アレルギー体質だけど原因が不明であれば、かかりつけ医に相談してみて下さい。
血液検査と実際の状態が乖離する場合
重要なことはIgE RASTが上昇していたとしても、現在除去せずに食べられているようであれば除去する必要はないということです。血液検査あくまで参考所見です。
逆に症状はあるけどIgEが上昇していない場合は下記が原因のことがあります
①血中特異IgEがまだ上昇していない
→月齢が低い場合 など
②別のアレルゲンが原因
→魚ではなくその中にいるアニサキスが原因 など
③IgE抗体が関与しない仮性アレルゲン
→サバ、マグロ、イカ、エビ等の魚介類やホウレンソウ、トマト、ナス、ヤマイモ等の野菜 など
この時も基本的には血液検査よりも症状を優先してください
終わりに
アレルギーは軽微なものから命に関わるものまで、症状は様々です。
かかりつけ医の指示に従い、適切に除去するようにしましょう。
症状が出現した場合には、早めに医療機関を受診してください。