小児科とーちゃんの日常

小児科、育児、日常、ポイ活についてのブログです。

風邪と発熱

今回は風邪、発熱について書いていきます。

同じ原因でも人によって症状が違ったりするので、しっかりと診断をつけるのは難しいです。

 

風邪について

風邪と一口に言っても、今どんな病原菌に感染しているかは正直わかりません。

風邪を引き起こすウイルスはすごく種類が多いからです。

インフルエンザや現在猛威を振るっている新型コロナウイルスも広義では風邪の一種です。
(勿論、新型コロナは現状ただの風邪というには症状が激烈すぎますが)

 

一般的には風邪とは上気道炎のことを指します。喉から上の炎症のことですね。

(図はすずしろクリニックさんから拝借しました)

 

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気管支炎・肺炎は下気道の炎症ですので、一般的には風邪と呼びません。

下気道まで炎症が広がっていると上気道炎よりも重症です。

大雑把に言うと聴診や胸のレントゲンは、下気道に炎症が広がっていないかを確認しています。

 

人間の体はもともと病原菌がなるべく入らないようにガードしていますが、侵入してきた物に対して体が防御反応を起こします。

それが鼻水であったり咳であったり発熱です。

症状自体は不愉快で辛いものですが、ない方がいいというわけでもないのです。

 

風邪を防ぐには

風邪を防ぐには手洗い、栄養、十分な休養が必要です。

ウイルスは多くがのどや鼻や目から入るので、マスクはやはり有効です。
(勿論マスクでウイルスを完全には防げませんが、加湿効果と他の人へうつすリスクを減らす効果があります。)

 

風邪をひいてしまったら

風邪の予防と一部重複しますが、一番良いのは家でゆっくりと休むことです

風邪をひくと「早く治すために薬をもらいに来ました」といってすぐに受診される方がいますが、残念ながら一般的な風邪薬には風邪を治す効果がほとんどありません。

風邪に対して処方される薬は、咳や鼻水を抑える薬だったり解熱剤などの対症薬(症状を抑える薬)がほとんどです。先ほど風邪の症状はウイルスに対する防御反応と書きましたが、防御反応を抑えるため風邪が長引く恐れすらあります。

アメリカでは、2歳未満に市販の風邪薬を飲ませないことを強く推奨されています。

私も親ですので、しんどそうにしている子供の症状を少しでも緩和してあげたい気持ちはわかりますし、娘に痰切りや鼻水止めを使ったこともあります。

しかし、治すためと思って漫然と風邪薬を使い続けるのはやめた方が良いでしょう。

 

じゃあどうすればよいのか?とは当然の疑問と思います。

十分な休養をとり、鼻水は吸ってあげ、咳に対しては加湿などが良いでしょう。
(あんまり医療系の話で広告もどうかと思いますが、一応紹介しておきます) 

 

 

ちなみに、風邪の原因のほとんどはウイルスですが、ウイルスには抗生物質(抗菌薬)は効きません。

標的が違うからです。治すどころか下痢になったりします。

上気道の感染で抗生物質が効くのは溶連菌感染症副鼻腔炎・中耳炎の一部だけです。
抗生物質に関しては、またどこかの機会でまとめようと思っています)

 

 他に何かないか?

咳にははちみつが効くとの論文がいくつかでていますので試してみる価値はあるでしょう(効かないという報告もあるようです)
ただし、ボツリヌス菌に感染するおそれがあるので、1歳未満のお子さんには絶対にはちみつを与えないでください

 

漢方は症状を抑えるのではなく、体質改善なので風邪を早く治すといった点では西洋薬よりも効くこともあるようです。風邪の初期には葛根湯、鼻水には小青竜湯など・・・ただ、申し訳ありませんが私は漢方は詳しくありませんので、気になる方は専門の先生に相談してください。

 

いつ病院を受診すればよい?

たいていの風邪は病院を受診する必要はありませんが、数日経っても明らかに改善しない場合や、状態が悪化してきている場合は早めに病院を受診するようにしてください。

 

発熱について

発熱でしんどそうにしている子供をみている親御さんは、少しでも楽にしてあげたいと思われることでしょう。

しかし、発熱もまた体の防御反応ですので抑えすぎはよくありません。

病院で解熱剤を処方されますが、たとえ39℃でも(40℃でさえも)まずまず元気で、口から水分などがしっかりと取れているようであれば解熱剤を使用する必要はありません。

解熱剤は病気を治す効果はなく、一時的に体温を下げることによって楽にする効果のみです。その間に水分をとったり、夜に眠り易くする目的で使用するのが良いでしょう。

6時間とか8時間毎に定期で解熱剤を使用する必要はありません。

 

なお、小児で使用する解熱剤はほとんどがアセトアミノフェンカロナール)です。

イブプロフェンもつかうことがあります。

他の成分が含まれているものは使用しないでください。

大人でよく使うロキソニンバファリンなどは解熱薬として使用しないでください。
(NSAIDsの使用で脳症などの頻度が増えるとの報告があります)

 痙攣してしまった場合の対処については下記の記事を参照ください。

 

 

1歳前後での発熱で多いのが、突発性発疹症というものです。

高熱が3-4日続きますが比較的元気で、解熱後に体を中心にぶつぶつがでてきます。

発疹がでてきたら、不安になるかもしれませんが感染は落ち着いていますので、ご安心ください。(必ずしも病院を受診する必要はありません)

 

しかしながら、発熱が続いた状態で発疹が出てくる、他にも症状が増えてきたなど
上記の場合は突発性発疹ではない可能性が高いので、病院を受診するようにしてください。

 

終わりに

繰り返しになりますが、風邪の一番の治療は十分な栄養と休養です。

薬を使わなくても治ることが殆どです。

普段の風邪と明らかに違う、いつまでたっても治らない場合は他の病気の可能性がありますので、病院を受診してください。